お寺って言うのは元々死者に近いところにある物だから色々噂も出来るよね。
で、私が母親から聞いた話。
母さんがまだ子供の頃、ビデオが普及して何年か、って辺りに(多分15年以上前?)
全国の若者たちの間で『呪いのビデオの噂』なんてのが流行って、それを信じた馬鹿がレンタルビデオ屋に火をつけたりする事件なんかが日本中で起きたりしてたんだって。

で、ある日母さんの家に坊さんが来て、
「檀家の皆さんにどうたらこうたらの協力を~」
とか言って一家で秋田の山(恐山?)にある旅館まで招待されたらしい。

招待されてたのは母さんたちだけじゃなくて、その日の夜、山の頂上の変な広場に全員が集められたのを見た限りでは百人以上はいたって言ってた。
で、その広場で年取った、多分一番偉い坊さんが挨拶してその後でっかいスクリーンでビデオの映画みたいなのを見せられたんだって。

そこで母さんが疑問に思ったのは子供たちは(母さん含む)すごく楽しそうにビデオを見てたのに大人たちは泣いてたり、震えてたり、中には「嫌だぁ!見たくないっ!」とか言ってそこから逃げ出そうとして坊さんに取り押さえられてたオッサンなんかもいたらしい。

それで、母さんはそこら辺の子供と一緒に楽しく映画鑑賞してたんだけど、いきなり後ろから母親、つまりばあちゃんに「あなたは見ちゃダメよ!」とか言われて目と耳をふさがれて、なんだか解らないままその日は解散になって、次の日には家に帰ってきたらしい。

それで、その時はなんにも解らなかったんだけどその5日後の朝に父親、つまりじいちゃんが死んじゃったんだって。
寝てるときにいきなりスッと起きてテレビのある居間に行ったと思ったら次の日の朝に白目剥いて泡吹いて死んでたんだって。

で、その次の日にお通夜をやったんだけど、そこで秋田にも一緒に来てた歯医者さんの娘さんが焼香の途中でいきなり
「来る!来る!くるあqwせdrftgyふじこ!!!」
って叫んで暴れ出して、じいちゃんが死んでた居間に走っていって誰も止める間もなくいつの間にか電源の入ってたテレビに奇声を上げながら頭を突っ込んだんだって。
部屋中が血だらけになったらしい。

とりあえず通夜に来てくれていた魚屋さんがトラックで彼女を病院に連れて行って残った人は拭き掃除。
ばあちゃんがなんか顔を真っ赤にしてどこかに電話してたのがすごく印象に残ってるらしい。
母さんの曖昧な記憶によると「どういう事ですか!?後2日あるはずだったのに!!」とか怒鳴ってたとか。

で、そこでようやく母さんも意味が解ってきた。
あのビデオは呪いのビデオで、だからばあちゃんは自分にビデオを見させないようにしたんだと。

翌日、ばあちゃんは母さんを親戚に預けてまた秋田へ行ったそうだ。
ばあちゃんが死んじゃうんじゃないかと母さんは心配していたが2日後、つまりあの日から8日後となった日にばあちゃんは無事に帰ってきたらしい。
今もばあちゃんは元気で生きているが、秋田で何があったのかは母さんには絶対に話そうとしなかったそうだ。

その後、歯医者さんの娘さんも全治3週間程度の怪我で、すぐに退院したらしい。
最後に、これは直接は関係ないかも知れないと言ってたけど、ばあちゃんが帰ってきた次の日、テレビで伊豆と秋田で相次いで謎の爆発があり、数十人に及ぶ死者が出たというニュースをやっていて、その秋田の方の現場が間違いなくあの広場のあった場所だったそうだ。